日本語版 / 第五章

 
 ジョーの魂が宇宙に解き放たれたとき、ジョーの両親は、彼が来るのを待っていた。

 「ジョー!」母親が言った。
 「母さん? どこにいるの? ぼくは・・・死んじゃったのかな。」
 「そうよ。あぁ、本当に久しぶりね。私たちふたりで、あなたがゴーストと戦っているのを見てたわ。」
 「よくやった。お前がこんなに勇敢だったなんて知らなかったよ。」父親が、目に涙を浮かべながら言った。
 「さて。すごい知らせがあるぞ。」
 「何?」

 すべての蚊の王になっていただきたいのです。

 'We would like you to be the King of all the mosquitoes.'

 すべての蚊の願いだった。ジョーは、この緋文字を見た。

 「どうして赤い字で書かれてあるの?」
 「勇敢な血の証だよ。」父親が言った。
 「なんて素晴らしい血をしてるのかしらね。あなたのマスターは。」母親が言った。
 「うん。すごくおいしくて、濃いんだ。なくなると、寂しくなるなぁ。」
 「蚊族の願いを聞き入れて、私たちの魂グループに入らないか。」
 「断る理由なんてないよ。もちろん!」ジョーが言った。

 一匹の小さな蚊が、天井から彼らを見ていた。

 「誰だ!?」ジョーは言った。両親が見上げた。そう。彼には第3の眼があるのだ。
 「あら、ケイティ! いらっしゃい。今ね、ジョーが一生を終えたばかりなの。」

 ジョーの心臓はまた激しく高鳴りはじめた。死後、彼の身体はより強靱になっていた。

 「ジョー、この子はね、・・・。」

 ジョーは真っ赤になった。実のところ、彼は、これまでに可愛い蚊なんて見たことがなかったのだ。

 「ケイティっていうの。怖かった。何の力にもなってあげられなくてごめんなさい。ごめんね。」

 ジョーはとてもシャイだったので、気の利いた言葉を口にすることができなかった。

 「えっと。何も思いつかないよ。・・・ごめんね。」

 彼らは微笑んだ。


 その2週間後、彼らは結婚した。


 どうしてそんなことを知ってるのかって? 拙者にたずねるでござるか? それは、拙者も同じ魂グループにいるからでござるよ。蚊王の、大いなる魂でござる。

 死を迎えると、魂は宇宙に解き放たれて、指導霊が現れるでござる。

 おそらくは、同じ顔で、同じ雰囲気かもしれぬでござる。

 きっと、すぐにわかるでござるよ。

 拙者? うむ。拙者は独り身でござる。天井をいつも見上げているでござる。

 血ほどに濃いものはないと思っていたでござる。しかし、拙者の誤りであった。

 魂のほうが、血よりも濃いでござる。

 拙者は、いま、もっと強くなるための修行中でござる。ともすれば、異なる虫にならなくてはならぬかもしれぬでござる。拙者、蠅は好かぬが、スイカを食べてみたいと考えているでござる。ジューシーな、真っ赤な、スイカを。

 心配なさるな。我々の物語は、これからも続くでござるよ。いつの日か、主人が本当の作家になるその日までは。

 そろそろ行かねば。天井を飛ばなくてはならぬでござる。なに?

 違うでござる。これは、拙者の任務ゆえ。
 
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